「国語の教室」
「現代文」の勉強の仕方
もし、日本語の会話を勉強している外国人に、「日本の社会の特徴を日本語で話してください。」と求められたら、すらすらと説明することができますか。まず日本の社会の特徴を、自分なりにどの程度把握し、認識しているかが問題です。次に相手の日本語の会話能力を判断して、相手が理解できるように言葉を選んで適切な速さで話すことができるかどうかです。つまり、説明する人自身の日本人としての常識や、思考力・判断力、表現力、さらには人格までも試されることになり、軽々しく話せることではありません。年齢相応の人生観・社会観を持っていることと、それらについて考えたり表現したりする国語の力が大切なのです。
一般に[高卒認定]を目指すのは、高卒と同等の資格をとって、希望する大学・短大・専門学校に合格し、そこで学ぶためです。[高認]で資格をとり、次に入試に合格し、さらにそれぞれの専門の勉強をこなせるだけの国語の力を身につけておかなければならないのです。われわれ一般の日本人は、複雑な問題や、微妙なこと、論理的・抽象的な思考は、日本語を使ってしています。ごく当たりのことでありますが、数学や自然科学、さらには外国語の勉強でさえ、しっかりした国語の力が不可欠です。つまり、すべての物事を理解するためには、文系理系をとわず、国語の読解力と表現力とが大いに力を発揮するのです。これらのことからみても、国語の勉強がどんなに大切であるかがよくわかると思います。ぜひしっかり国語の力を身つけるようにしてください。
何を読んだらよいか。
それでは現代文の理解力を身につける勉強はどのようにすればよいかということになります。評論・論説でも、随想・小説でも、筆者のいいたいことをはっきりつかむようにすることです。そのためには、文章の前後にそった語句の意味や、段落ごとの内容、中心的な語句や文・文章・段落の把握などができなければなりません。また部分の理解や全体の理解も必要です。結局、綜合的な学習が大切だということになります。
平常の勉強の仕方としては、現代文の参考書で自分の気に入ったものを一冊求めて、それを一通り読み通し、現代文の学習内容の全体をとらえるようにします。その場合も大切だと思うところや、よく分からないところ、これまで全く気付かなかったところなどに傍線や印をつけたり、二回目三回目に利用するときに役立つような痕跡を残しておくことです。
次に,努力して読書すること。自分の本なら印をつけたり書き込みができます。あるいは感銘をうけたり大切だと思うところのあるページの下端を大きく折ったりなどの工夫をして、自分なりに読んだあとを残すようにします。短くても読後感を書くと、読解も深まるし、表現の勉強にもなります。さらに思考力も鍛えられることになります。小説よりも新書本、文庫本などで、文化論、文芸・芸術論、人生・哲学論、学問・科学論、社会論、随想などを多く読むようにするとよいでしょう。また新聞の社説や解説記事やコラム(「天声人語」「編集手帳」などの囲み記事)などをつとめて読み、論理的・説明的な文章に慣れるようにすることも一つの方法です。
読書、新聞を読むなど、どの場合でも国語辞典を頻繁に利用すること。語の意味だけでなく、漢字の読みや書き取りの勉強にもなるし、こういうことによって、自分の語彙の量を増やしていくことが、国語の基礎力の充実になるのです。国語辞典はできれば出版社の異なる二種類と、漢和辞典を利用すると分かりやすいし、理解も広く深くなります。