日本アルプス( 飛騨山脈 )の北西に位置する立山連峰は,富士山・白山とともに,日本三霊山の一つです。
大糸線大町駅よりケーブル・ロープウェイと乗り継いで,立山の登山口室堂までは,立山連峰直下の長い々々トンネルをバスで行きます。このトンネルの中程に「分水嶺」( 分水界ともいって降った雨水・雪解け水が左右に分かれて、川となり流れる境になっている山の尾根 )という標識があります。
この真上の立山連峰頂上の東に落下する雨滴や雪と、 西に落下する雨滴・雪とは分かれて別々の川となって、 流れる方角を異にします。同じ場所に降る雨や雪が、右と左の僅かの違いによって、大きく隔たって行き、その距離の差をいよいよ加えて、ついには日本海と太平洋とに別離することになります。
人の成功・不成功との分かれる原因をつきつめて行くと、これとまったく同じことが言えます。 初めの差は極めて小さいのです。今、学習を志している諸君達は、人間における能力の差などを考える必要は全くありません。
一途に自分を信じて、 自らの力によって、 自らの運命を切り開いて行くことです。人生での成功は、どのように頑張るかによってのみ決まるからです。疲れたからといって休み、事情があるからといって怠けるならば、 成功などは絶対に有り得ないことをしっかりと知らねばなりません。
人生に対し真剣な努力を一生持ち続けて、決して失ってはいけません。一分一秒の間にも、一歩十歩千歩の中にも進歩と退歩が含まれていることに思いを至さなければいけません。
諸君は、 霊峰立山の頂上に立ったことがあるだろうか。眼下の眺望は、 まさに絶景そのものです。登山は,苦難の末にのみ頂上を極めることができます。幾多の難関多い人生ではありますが、どうか不屈の闘志をもって、 必ずや登りきってほしいと願ってやみません。そして今はただ学習することです。
東京教育学院 指導部